オンライン英会話で人気のカリキュラムの一つに『カランメソッド』があります。
通常の4倍のスピードで英語が習得できます!
という売り文句で多くの英語学習者の興味を惹きつけるカランメソッドですが、
そんなうまい話が本当にあるの?
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
中断を挟みつつも2年近くカランメソッドを受講し、スピーキングテストでCEFR B2を獲得した僕が、カランメソッドについて正直な感想をお話しします。
この記事を読むことで
カランメソッドで英語が話せるようになるのかどうか
カランメソッドを受講するときに気を付けるべきことは何か
スピーキング力を鍛えるにはどうしたら良いのか
これらの疑問が解消します。ぜひ最後までお楽しみください。
Contents
カランメソッドには効果があるのか
まず結論からお伝えします。
カランメソッド“だけ”では英語は話せるようになりません
これは断言できます。
事実、僕はあまりにも効果が実感できなかったため一度カランを辞めています。
しかし現在はカランを再開し、今も2~3日に1回ほどレッスンを受講しています。
そして本格的に再開してから半年で、スピーキングテストのスコアがCEFR A2 High→B2に上がりました。(CEFR B2は仕事で英語が扱えるレベルです)
これらの経験で分かったことは
カランメソッド“だけ”で英語が話せるようにはならないが、正しく扱うことで英語(英会話)の習得スピードは早くなる
ということです。では、これから詳しくご説明します。
筆者のカランメソッド受講歴(参考)
本題に入る前に、参考までに僕のカランメソッドを含むオンライン英会話の受講歴を明記しておきます。
興味がなければ読み飛ばしていただいて全く構いません🙌
① 2020年1月~8月 カラン以外のオンライン英会話
僕が初めてオンライン英会話を始めたのは2020年1月でした。
特に理由があったわけでもなく、当時は比較的時間に余裕もあったので「英語が話せる様になったらいいな」程度の気持ちで始めたと思います。
選んだのは受講回数無制限でお馴染みの『ネイティブキャンプ』。2~3日に一回、“日常英会話コース”や“フリートーク”のレッスンを受講していました。
(ネイティブキャンプでもカランは扱っていますが、予約が必須&予約に別料金が発生したので受講したことはありませんでした。)
② 2020年9月~2021年8月 カランメソッド
この頃には少し忙しくなり、レッスンを月に5回程度しか受講できなくなってきたのでネイティブキャンプを休会しました(ネイティブキャンプには退会制度がありません)。
月に8回程度のレッスンでネイティブキャンプよりも月会費が安く、かねてから気になっていたカランメソッドを扱っているということでQQ Englishに入会。
QQ Englishでは月に8回カランメソッドを継続して受講し、一年かけてStage4の冒頭まで辿り着きました。
しかし「このまま続けていても英語が話せる様にはならない」と感じ、2021年8月にQQ Englishを退会しました。
③ 2023年4月~ カランメソッド+α
英語からしばらく遠ざかっていたのですが、退職を機にオンライン英会話を再開しました。
選択したのはネイティブキャンプ。時間が確保できそうだったので、物量で攻めてみようと考えました。
そして主に受講しているのはカランメソッドです。Stage2から再開し、6月末頃にStage4まで戻ってきました。
カランを再開した理由は後述します。
カランメソッドでは英語が話せるようにならない!?
前述の通り、カランメソッドだけでは英語が話せるようにはなりません。なぜなら
カランメソッドでは会話をしないから
です。というよりも、そもそもカランメソッドは英会話を学ぶカリキュラムではありません。
そもそもカランメソッドとは
カランメソッドはイギリスで開発された新しい語学学習法で、母国語を介さずに新しい言語を学ぶ“ダイレクトメソッド”と呼ばれる手法の一つです。
レッスン中は「先生が質問文を2回読み上げる」→「生徒が答える」というやりとりをひたすら繰り返します。
先生は意図的に早口(ナチュラススピード)で質問文を読み上げ、生徒が回答するときにも被せるようにナチュラルスピードで回答文を読み上げます。
「ナチュラルスピードの英語を聞き、それに対してナチュラススピードの英語で返答する」、それを繰り返すことで日本語を介さずに英語で考え英語で返答する能力を身につける、というのがカランメソッドで英語を学ぶ方法の概要です。
ざっくり言ってしまえば、単語や文法の勉強をせずひたすら経験値を積み上げることで、(子どもが自然と言語を習得するように)英語を身につける、そんなイメージです。
詳しくはこちらのページをご確認ください。
カランメソッドでは会話をしない?
「カランメソッドでは会話をしない」と聞いて
オンライン英会話なのに?
と疑問に感じるかもしれません。
前述のようにカランメソッドでは先生が質問を2回繰り返し、それに対して生徒が回答します。
が、実は回答内容はほとんどの場合ですでに決まっています。
そもそも回答の幅が狭い
カランメソッドでは“フルセンテンス”で回答することが求められます。つまり、
- Yes, Noのみ
- 単語のみ
などの回答は許されません。
例1)Do you like apples?(リンゴが好きですか?)
✖️ Yes.
⭕️ Yes, I like apples.
例2)Which do you prefer apples or oranges?(リンゴとオレンジのどちらが好きですか)
✖️ Apples.
✖️ I prefer apples.
⭕️ I prefer apples than oranges.
となると回答の幅がほとんどありません。
また先生たちは生徒が回答を喋りだすと、被せる様に回答文を読み上げます(生徒にナチュラススピードで回答させるため)。
生徒が何を言おうとしたとしても、結局は先生が読み上げたものに飲み込まれてしまい、生徒は先生が発した回答文を繰り返して口にだす形になってしまいます。
そもそもカランメソッドで聞かれる質問は
- Yes か No で答えられるもの(クローズドクエスチョン)
- 「A と B のどちらが好き」などの二者択一話法
- 「きょうだいは何人ですか?」などの数字を尋ねるもの
がほとんどです(少なくともStage3までは)。
質問に回答してはいるものの、「会話している」と言うにはやや厳しい印象があります。
回答内容を覚えることが前提
カランメソッドの質問の中には、生徒が暗記することが前提となっていると思われるものがあります。例えば
When do you use capital letters in English?
(大文字のアルファベットははいつ使いますか?)
などの質問です。回答は「文の先頭、一人称の“I”、人の名前や曜日〜」と続きます。
これを自分で考えて回答するのは難しいですよね…。他にも
What’s the difference between something and anything?
(something と anything の違いはなんですか?)
など、二つの単語の使い所の違いを尋ねる質問も頻繁に登場します。
実はこれらの質問は、先生が直前に行なっている文法の説明に関するものです。
カランメソッドでは
- 新しい文法や単語を先生が説明する
- それに関する質問をいくつか行う
という流れを繰り返す形でレッスンが進みます。なので、たとえばsomethingの使い方を学ぶパートだと、something と anything の違いを尋ねる質問がされるわけです。
ちなみに「直前で解説している」とは言いましたが、先生はいつも通りナチュラススピードで解説文を読み上げまず。
当然メモ書きはできませんし、そもそも内容を理解するので精一杯です。
読み上げ内容はテキストに書かれていますが、レッスン中にテキストを開くことはできません。
つまり「聞いて、繰り返し口に出して、覚えなさい」ということでしょう。
答えようがない質問もたくさんある
そもそもの話として、カランメソッドはオンラインで行うことを想定していません。
その証拠にジェスチャーを伴う
What am I doing?(今、私は何をしていますか?)
という質問がたくさんあります。
- 右手をあげる
- 本を読む
- 立ち上がる
などはまだいいのですが、
- 椅子を窓の近くに持っていく
- 部屋から出ていく
- 本を生徒(自分)に渡す
などはオンラインの画面上では無理があります。
先生たちはなんとかそれっぽいジェスチャーをしてくれますが、残念ながらそのジェスチャーを見て想定された回答をするのは難しい場合がほとんどです。
結局「このタインミングでこの動きならおそらく〇〇をしているんだろう」と類推して、覚えておいた回答を読み上げる形で乗り切る形になってしまいます。
カランメソッドの正しい活用方法
ここまでをまとめると、カランメソッドは“英語で英語を学ぶカリキュラム”だということです。
しかし多くの日本人は中学・高校ですでに嫌というほど英文法を勉強していますし、日本語でも難しいものを英語で説明されてわかるわけがありません。
つまりカランメソッドで得られるものは、
- 英語でのコミュニケーション能力
- 英文法の正しい知識
などではありません。
カランメソッドで得られるのは
外国人にナチュラルスピードの英語で質問されるという経験
そして
その質問に「即座に」かつ「早いスピードで」回答をしなければならないという経験
です。
そしてカランメソッドを続けることで伸びるスキルは
- 聞き返さずに内容を理解する『リスニング能力』
- とりあえず口を動かす『瞬発力』
- 即座に回答を用意するための『英語での思考力』
が挙げられます。
端的に言えばカランメソッドは筋トレです。
続けることで確実に基礎力が身に付きます。そして基礎力が身に付くことで、応用力の伸びが加速します。
しかし筋トレを続けるだけではスポーツが上手になったりはしません。
英会話も同様です。カランメソッドだけを続けていても英語が話せるようにはなりません。
なので、スポーツでいう練習試合、つまり実践的な英会話のレッスンを受講することで、通常の4倍の速さで英語の習得が可能になります。
カランメソッドを受講するときの注意点
カランメソッドを受講する際に抑えておきたい注意点は
- 「英会話コース」のレッスンも並行して受講する
- 復習を怠らない
の2点です。
「英会話コース」のレッスンも並行して受講する
前述の通り、カランメソッドの効果を最大限発揮するには、実践的な英会話のレッスンを受講するのが一番です。
一番は『フリートーク』ですが、敷居が高くなかなか受講する勇気が出ない方も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、あるトピックについての意見を話し合うレッスンです。
ネイティブキャンプであれば『デイリーニュース』や『5minディスカッション』、QQ Englishであれば『トピックカンバセーション』などです。
レッスンの流れに従って受講するのもいいですし、途中で気になることがあれば雑談を話すのもありです。話が止まってしまっても、簡単に教材に戻ることができます。
ネイティブキャンプについてはこちらの記事でおすすめの教材を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
復習を怠らない
カランメソッドのレッスンを受講したら、次回のレッスンまでにしっかりと復習をしましょう。
レッスンが全て英語で行われ、しかも会話スピードが早いカランメソッドの内容を一度で理解するのはかなり無理があります。しっかり復習しておかないと、次回のレッスンが復習だけで終わってしまう可能性もあります。
オススメの復習方法は、ネイティブキャンプアプリの「callan reading」を使うことです。
音声の読み上げ機能はもちろんAIによる発音チャック機能もあるので、ゲーム感覚で復習することができます。
詳しくは別の記事でご説明します。
ネイティブキャンプ以外の英会話教室に通っている方は、カランメソッドのアプリを活用しましょう。
カランメソッドアプリには「エクササイズ」として“Question & Answer”, “Dictation”, “Extra Practice”の3つの機能が用意されていますが、復習には“Question & Answer”が便利です。
ただカランメソッドのアプリはそもそも反応が悪いですし、強制終了したりエラーが起きたりということが日常茶飯事です。あまり期待しすぎないようにご注意ください。
もし忙しくてしっかり復習する時間が取れない場合は、テキストを読んでおくだけでもだいぶ違います。
レッスン中に聞き取れなかったところを中心に読んでおきましょう。
カランメソッドにオススメのオンライン英会話
カランメソッドに興味がある方は、オンライン英会話の「ネイティブキャンプ」か「QQEnglish」の活用がオススメです。
カランメソッドは「オンラインでの受講に向いていない」とお話ししましたが、やはりそれでも“自宅で”“好きな時間に”“リーズナブルな値段で”受講できるオンライン英会話の方が、トータルで見れば対面型の英会話教室よりもメリットが多いと思います。
ネイティブキャンプ
『レッスン回数無制限』でお馴染みのオンライン英会話です。
ネイティブキャンプでもカランメソッドが提供されていますので、レッスン回数を気にすることなくカランメソッドと他の「英会話コース」との並行受講が可能です。
ですが一つ注意点があります。
カランメソッドのレッスンは「今すぐレッスン」の対象外となっており、受講するにはコインを使用して予約をしなければなりません。
コインの入手方法や節約方法についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
QQEnglish
ネイティブキャンプがお得なのはわかるけど、そんなに頻繁に受講できない!
そう感じる方も多いのではないでしょうか。そうゆう方にはQQEnglishがオススメです。
一般の方が副業的に先生をやっているネイティブキャンプと異なり、QQEnglishの先生は全員がトレーニングを受けた正社員です。
また授業はフィリピンにあるQQEnglishのオフィスから行っているため、比較的安定した通信が保証されています。もちろん生活音などが入り込むことはありません。
QQEnglishは日本初のカランメソッド正規認定校で、追加料金なしでカランメソッドのレッスンが受講できます。
QQEnglishの料金プランはポイント制となっていて、例えば月額4,980円のプランでは毎月400ポイントが付与されます(有効期間1ヶ月)。
レッスンの受講には予約が必要で、先生の熟練度によって予約に必要なポイントが変わります。大半の先生が50ポイントで、上位の先生になると75ポイントや100ポイントになります(トレーニング中の先生は40ポイント)。
月に4~8回程度のレッスンを希望している方や、多少高くでも質の高い先生のレッスンを受けたい場合はQQEnglishは有力な候補に入ってきます。
QQEnglishの詳しい解説についてはこちらの記事をご確認ください。
Q英会話に関するオススメ書籍2選
今すぐオンライン英会話を始めるのが難しい方もいらっしゃると思います。
そのような方のために、おすすめの書籍を2冊ご紹介します。
難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください!
タイトル通り、「簡単に」「手っ取り早く」英語が話せるようになるコツについて書かれた本です。
英語初心者の著者がネイティブの英会話コーチにインタビューする、という形式になっており、とても読みやすい書籍です。
もちろん書籍を読んでペラペラに喋れるようになるわけはありませんが、「なるほど!そうすれば伝わるのか!」と、外国人との会話するハードルがガクンと下がるネタが満載です。
この本には漫画版もありますので、書籍が苦手な方にはそちらもオススメです。
さらにさらに、この2冊はどちらもKindle Unlimitedの読み放題対象となっています。
読むだけなら購入するよりもKindle Unlimitedの方がお得なので、よければこの機会に加入をしてみてください。
初回登録なら初月無料ですし、登録してすぐに解除すれば自動で更新されることないですし、1ヶ月間は完全無料で活用できます。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)
簡単な日本語の文章をひたすら英語にするトレーニング本です。
回答は中学校レベルの単語や文法で書かれており『「知っている英語」を「使える英語」にする』というのが本書のコンセプトです。
「簡単な言葉でいかに言いたいことを表現するのか」というのは、一冊目にご紹介した『難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください!』にも共通する内容です。
ぜひ併せてご利用ください。
まとめ
“通常の4倍のスピードで英語が習得できる”と言われるカランメソッドですが、一年間受講した感想としては「カランメソッドでは英会話は上達しない」でした。
ですがリスニング力は格段に伸びましたし、「外国人のナチュラルスピードの英語に応答する」という経験が積めたことはかなり有益だったと感じます。
カランメソッド単体で英会話を習得するというのは正直難しいと思いますが、「英会話コース」のレッスンを並行して受講することで英会話習得にグッと近づく可能性はあると感じます。
お時間がある方は、レッスン回数無制限のネイティブキャンプでカランメソッドと「フリートーク」や「トピックトーク」「スピーキング」などのレッスンを受講するのが一番効果的だと思います。
あまり時間が取れない方は、ネイティブキャンプよりも安く、そして先生の質が高いQQEnglishの活用をオススメします。
一緒にコツコツ頑張りましょう!最後までお読みいただきありがとうございます!
歩吉